未来の歴史学者たちは、今日がイギリスとヨーロッパの運命が変わった日と見るでしょう。

また、EUという、空想的なものの「最期の始まり」として見られるかと思います。

一イギリス人として解説を少ししたいと思います。因みに今は僕はイギリスと関わりはまったくありません。そして貯金はイギリス・ポンドが殆どなので、今日の出来事で僕の資産は大幅に下落しました。投票はしなかったです(僕は今後イギリスに住む予定はないので、イギリスがどのような国になるかどうか自分に言う筋がないと思います。それは selfishだと思います。)。

でも僕は個人的に離脱のメリットはあると思います。

58 PM
(赤が離脱)

なぜイギリス人は離脱を? 

一言で言うと、階級

イギリスは都市に住んでいる人と、地方の人はものすごく違います。
地方は恵まれず、仕事は少ない。移民が多い。ロンドン出身の僕には地方は貧しい、苦しいところというイメージはあります。

移民が多いことは断じて悪いとは思いませんが、自分の周りの社会的変化があまりにも加速していた状態なのがイギリスです。それが庶民の住む環境。メディアでは離脱すると経済が崩壊する云々と報道されていましたが、実際庶民が生きる環境にはそこまで関係ないのでは?更に、経済が豊かなのはほぼロンドンだけで、「経済が崩壊する」と庶民を脅かそうとしようとしていたメディアやセレブ系やエリート階級は庶民の声をまったく聞こうとしていなかった。地方の経済は既に崩壊している。失うものなどない。そして、経済が全てではないということをエリート階級が理解できなかったため、今回の残留派が敗れたのだと思います。

一方、ロンドンのようなコスモポリタンな都市はEUに属し続けることが望ましい。僕の友達のほとんどが残留派です。安定した仕事に就いていて、移民には慣れているし、その労働力を利用できる。イギリスが離脱すると、実質的に困る可能性がある。

離脱派は現在のイギリスに既に絶望しており、失うものもない。こういうケースが多い。

残留派は現状に満足していて、失うものが沢山ある。だから離脱派の勝利に怒りを示している。

そう、イギリス社会は実に分裂しているのです。上記の地図でも分かりますが、ロンドンが経済成長を図る一方、地方はほとんど恩恵を受けていない。

EUの最期の始まり?

そもそも、統一したヨーロッパなんて、理想的社会改良計画案に過ぎないと僕は思います。

文化も統一していないのにどうやって政治と経済を統一させるのかが理解不能です。

その問題は南ヨーロッパを見れば明らか。ヨーロッパから一番の恩恵を受けているのはドイツ。当然、EU を最後まで保護する国となるでしょう。ヨーロッパ圏の膨大な市場へ無制限にアクセスできる、勤勉で技術的に専心したドイツ人達とドイツ系企業は明らかにスペイン系(昼寝好きな!)やギリシャ系企業と比べて優越的な競争を行えるだろう。

イギリスの後を追って、EU とユーロを離脱しようとする国が続々と出てくると思います。

正に理想的社会改良計画案: EU の崩壊の始まりかもしれません。

ただし、ギリシャの例をみると、去年離脱の投票を行ったにもかかわらず、チプロス首相は国民投票を裏切り、ドイツの経済政策の緊縮を受け入れた。イギリスにも同じことにならないことが僕の願望。だからイギリス首相カメロンが辞任宣言をしたことは良いと思う。

今後の予測

短期的にイギリス経済は不安定になるでしょう。ただし、イギリスが EU との交渉力を駆使すれば長期的に経済は成長すると思う。

EU 諸国で次々に右寄りの運動が広まり、離脱運動が激しくなると思う。イギリス離脱をきっかけにフランスが EU を離れることも考えられると思います。

恐らくイギリス離脱を最も喜ぶのはロシアでしょう。ロシアはヨーロッパが分裂すると支配できる範囲が広まります。現にロシアは情報戦争を行っており、その情報戦争の目的はヨーロッパを右寄りにさせることです。そうすればイギリスの様に左寄りのヨーロッパ残留派と右寄りの離脱派に分裂させて、ヨーロッパを弱体化できる。

さて、アメリカはどうなのか。間違いなくイギリスの離脱はアメリカにとってよくないだろう。更にトランプ氏が大統領になればアメリカはより内面的になり、ヨーロッパは一番の見方を失う。だからロシアにとって今日の出来事は勝利に等しい。

いずれにしても、僕としてはイギリス人達の幸福を祈るだけ。それはイギリスのエリート階級ではなく、一般人たちの自分の国を取り戻したいという国民の声を政治家達が聞いて、導入してくれることを望む。

ジュリアン