2016年に在留外国人数が過去最高となりました(230万人)。(Japan Timesより)
この人たちの大半は当然働かなければなりませんが、日本の会社の社風や文化には馴染みがないことは間違いないでしょう。

実に、外国人にとって日本の会社で働く苦労と困難についてネットの記事や掲示板にたくさんの投稿が書かれています。

では企業にとって、離職率を下げて業務効率を上げるためにも、どうやったら外国人社員を上手く取り入れていくかは今後ますます重要になります。言語の壁を超えるためにビジネス英語の研修を導入するのも一つの手ではありますが、文化的な問題になると表面上のソリューションだけでは物足りないのではないでしょうか。

このトピックについてビジネス英語のディスカッション・レッスンをDMM.com オフィスで行いました。下記に主なポイントをまとめてみました。

日本人社員のイメージとして)外国人社員にとって日本の会社で働く上で最も。。。。。
難しいこと 魅力的なところ
人間関係 (interpersonal relationships)

・日本の縦社会では先輩・後輩の上下関係がはっきりしていますが、西洋の社会では人間関係はより水平です。言葉遣いから飲み会への参加まで、縦社会の構造を崩さない為にも、会社では人間関係を保つ必要があると思います。 このやり方に慣れていない外国人社員にとっては、どうやって人と接するかが分からなく、説明せず無理やりに取り入れようとすると誤解・混乱を招く恐れがある。

 職の安定性 (job security)

・日本の労基法では、国際基準でも非常に手厚く労働者は保護されております。懲戒でなければ、解雇処分というのも非常に稀だと思います。逆にアメリカではすぐ解雇できる仕組みなので、外国人労働者にとって日本は安心して仕事ができる国なのではないかと思います。これは日本の会社の最も魅力的なところだと僕は思います。

残業 (overtime)

・多くの会社では残業が夜遅くまで続いています。また、残業代が支給されないケースも多々。外国人社員は「何故こんなに残業するの!?」と思う他ありません。 和を重んじる日本人社員にとっては残業には仕事以上の意味があるのではないかと考えます。それは会社や同僚に対する敬意や従順する事の重要性が隠れているのではないでしょうか。

手当 (in-kind benefits)

・英語であらゆる手当は “In-kind benefits”と言います。これは住宅手当や交通費を会社が負担してくれるという、海外でもらえたらとてもラッキーな制度です。日本の大手ほど充実した手当は、海外ではとても珍しいと思います。外国人にとっては大きなメリットではないかと思います。

有給休暇消化率の低さ (paid leave)

・有休は労基法で保証されている一方、多くの会社員は完全に消化しません。消化しなければ絶対損なので、外国人にとって、何故毎年消化せずに済ましているかが理解できないと思います。 これも、休むことで他人に負担迷惑をかけたくない、和を保つことを優先する日本人の独特なところではないでしょうか。

 その他

・日本は祝日も多いし、会社側は保険・年金も50%負担してくれる。さらには、退職金も充実している。日本の会社で正社員として仕事に就くことができれば、とても安定した環境が期待できると思います。

根回し (consensus-building)

・日本の会社では会議にて決断が取れるというよりは、ほとんどのケースはまずは根回しが起きると思います。何故物事が迅速に進まないかと困る外国人社員も少なくはありません。 各メンバーが「和」に基づいて、より多くの社員が納得できる方向性を定めなければならないという文化があるのではないでしょうか。これも集産主義な日本社会の一つの特徴だと思います。

 

 

 
このように表に出してみると、外国人にとって日本で働くうえで難しそうなところは文化的な要素ばかり。

日本の会社には魅力的なところがたくさんあるはずなのに、最近は「外資系でしか働きたくない」と言う日本人も増えてきています。 何故でしょう?

普段から分析・比較せずに働いていると、魅力的な部分だって見えなくなる可能性があります。では、外国人社員を雇用する側としては、どうやったらより上手く取り入れるかというと、やはりコミュニケーションが必須ではないかと考えます。

「コミュニケーション」という単語自体、最近では使い古された言葉になってきてしまい、個人的にあまり好きではないですが、フランクに「何故日本の会社はこういう成り立ちか」を外国人にコミュニケーションをすることで、多くの誤解や混乱を免れるのではないでしょうか。

同じく、日本人社員に対して西洋文化のみならず、「あの国では。。」を伝えることで、よりバランス良い職場ができるのではないでしょうか。

35ヵ国以上歩いてきた自分でも、日本のように和を重んじる社会は世界にあまりないと思っています。

**経験談**

苦かった経験ですが、僕自身かつてとても保守的な日本の会社で働いた経験があります。1年半も続かなかったです。サービス残業を強いられたり、有休を取らせてくれないなどと、色々ともめた結果、会社を辞めて今は独立してビジネスをしております。ロンドン出身の僕にとって当時は大きなカルチャーショックを受けましたが、今になって振り返ると、妥当な授業料の人生経験だったと思います。

何を学んだかというと、しっかりと文化を理解して、コミュニケーションを取ることの重要性です。

日本人、外国人、お互い違う環境で育ちあがって、異なる文化を持っているので、一緒に働くなら理解し合いながら働くことが最も健全だと思います。世界には様々な常識や価値観があります。

以上、こういうことを英語で議論する、ビジネス英語レッスンの報告でした。
ジュリアン